インディペンデント映画は、もっとビジネスと結びついていい。——徐童(1/2)

徐童

徐童(シュー・トン)監督の作品は、これまで我々の映画祭で3本上映しているので、お馴染みの人も多いだろう。この度、インタビューをお願いしたところ、『占い師』と『唐爺さん』に出ている唐小雁(タン・シャオイェン)さんも連れて来てくれた。ただ、唐さんはインタビューの間、部屋を出たり入ったりして、ところどころ口を挟むという感じ。徐監督は、もともと話すことを考えて来たようで、こちらの質問も待たずに話題を振ってきた。

 

徐童 昨日、顧桃と一緒にキャノンが主催する全国高校影像作品大賽(全国大学映像作品コンテスト)の審査員として、審査会に行って来たんです。私たちはドキュメンタリー部門の審査員なんですが、昨日で審査結果が出て、近いうちに無錫で表彰式をやります。エントリーした50校近くの大学の学生と先生が、一堂に会するんです。審査員などを含めて百数十人がひとつのホテルに泊まって、大規模にやるんです。今年で2回目ですが、前回も立派で、なかなか良かったですよ。

第1回で大賞となった短編を撮った学生は、その後休学してまで作品を撮り続け、今年長編ドキュメンタリーを完成させました。彼は今後もドキュメンタリーを作り続けていくことでしょう。こうした人が、このコンテストから生まれているというのも非常に面白いことです。

——キャノンは機材を映像作家に無償提供したり、中国で様々な宣伝活動をしていますね。

徐童 ええ、私や顧桃もキャノンからカメラを提供してもらってます。最初に提供を受けたのは劉勇宏(映画カメラマン。代表作に『盲井』『唐詩』『キムチを売る女』など)ですね。私は提供してもらったカメラで『唐爺さん』以降の3作品を撮っていて、キャノンとの関係も長いです。

このコンテストでは、賞品としてキャノンのカメラが出るんです。ドキュメンタリーとフィクションの各部門で、大賞は私が使っているのと同じカメラ、他の賞でも1万元くらいのカメラがもらえます。

私たちの要望で、ドキュメンタリー部門とフィクション部門は同等に賞を用意してもらったんです。ドキュメンタリーにもより多くの人たちが参加し、社会に影響を与えられるようになればと願っての事です。

影響といっても、欧米や日本のように恵まれていないから、基金や公的機関から協力が得られたりはしません。なので、企業と組むというのは良い方法です。企業の目的はあくまで宣伝で、少なくともブランドの浸透を意識しているわけですが、その目的のもとにドキュメンタリーの制作を助けることが可能なら、それも良いと思います。

このコンテストは、全国各地で巡回上映もするんです。私もいろんな大学に行きました。コンテストをやる前の年には、コンテストの告知を兼ねて10ヶ所ほどまわったし、そこでは私がどんな風にドキュメンタリーを作っているかを講演しました。去年からは私が顧桃を紹介し、彼も数カ所まわりました。キャノン側はコンテストの概要を最低限告知するだけで、私が何を話すかは自由です。このような協力関係は理想的だと思います。

——企業が、あえてインディペンデントの作家と協力しているというのが面白いですね。

徐童 そうなんです。普通に考えれば、テレビ局と協力して、大学でドキュメンタリー番組の制作などを語るのも良いだろうし、国が認める映画協会とかと組めば、いろいろ好都合なこともあるかもしれませんが、私が選ばれたのは単純に作品を評価してくれたからだと思います。日本人の上司が、インディペンデント云々を意識していないというのもあるかもしれません。